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【法改正情報:意匠法】建築物の意匠
(2020/10/09)
 
 意匠法が改正され、2020年4月1日より意匠法の保護対象に建築物の外観や内装等の空間デザインが含まれるようになりました。これまで意匠登録の対象は物品(動産)に限られていましたが、改正後の意匠法では、建築物の形状や、店舗等の施設の内装も登録を受けることができる旨規定されました。
 以下、本稿では、「建築物」の意匠出願について概略を説明します。

 先ず、意匠法上の「建築物」の意匠を構成するためには、審査基準によれば「(1)土地の定着物であること」及び「(2)人工構造物であること」の両方の要件を満たすことが必要と定義されています。上記(1)において、土地には、地表のほか、海底等の水底も含まれます。定着物とは、継続的に土地に固定され任意に動かせないものを指します。従って仮設の住宅やテントは該当しません。上記(2)において、人工構造物には、建築基準法上の建築物のほか土木構造物も含まれます。山や河川等の自然物が該当しないのは勿論ですが、ゴルフコースや庭園等の自然物が主体の構造物も対象外となります。尚、「建築物」の全体だけでなく、その一部について部分意匠の出願をすることも可能となっています。

 又、出願する意匠が複数建築物で構成されていても用途に一体性が有る場合(例:校舎と体育館とを含む学校施設)は、1意匠として出願できます。用途の異なる複数の建築物が全体として意匠的な統一感を有する場合(例:商業施設とホテルとの組合せ)は、組物の意匠として出願することができます。

 意匠登録には新規性が必要ですので、建築物の意匠出願は、新たに施工される建築物の形状が対象です。しかし新規性喪失の例外規定を利用することにより、現在施工中又は既に施工された建築物等でも意匠登録を受けられる可能性が有ります。

 これまでも建築物の外観や内装デザインの模倣に対し著作権法や不正競争防止法で対抗することは可能でしたが、意匠法による保護であれば、類似性に基づき他人の模倣を排除できるので、模倣対策がより簡便になると期待されます。


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