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葛西特許事務所
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【役立ち知識:商標】インターネット上における商標の使用 (2017/01/11) |
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通常の店頭における商標の使用とはまた違った、インターネット上に特有の商標の使用態様があります。
例えば、自己の登録商標をキーワードとして検索したときに、他社の広告が検索結果表示画面の上位に表示されてしまうと、消費者は出所を混同し、他社の競合商品を購入してしまうかもしれません。このような場合に、商標権侵害等を理由に表示をやめさせることはできるのでしょうか。
上の画像は、Descriptionメタタグの例です。Google等の検索エンジンに読み込ませる目的で、ウェブページのHTMLタグ内に設定されるものです。
Descriptionメタタグ(=記述メタタグ、視認性があるもの)が問題となるケースでは、侵害を問える場合が多いといえます。そのサイト自体には登録商標は表示されませんが、検索結果表示画面には登録商標は表示され、その表示が商品又は役務に関する広告ということができるためです。(※1)
但し、これに対して、検索結果表示画面にすら登録商標が表示されないKeywordsメタタグ(=キーワードメタタグ、視認性がないもの)の場合は、前例となる事件が存在せず、判断が分かれます。(※2)
上の画像は、検索連動型広告(キーワードバイ)の例です。検索連動型広告とは、インターネット上の検索エンジンにおいて、インターネットの利用者が検索したキーワードに関連した広告を検索結果表示画面に表示するものです。
検索連動型広告が問題となるケースでは、商標権侵害と判断された事例は現時点で存在しません。
自己の登録商標を検索すると他社の広告が検索結果表示画面に表示されていたため商標権侵害を理由に訴えた事例では、被告とされた広告主がインターネットショッピングモールであり実際に販売する加盟店ではなく、その広告のリンク先にその登録商標を表示した商品が存在しなかったこと等を主な理由として、侵害は否定されました。(※3)
ドメイン名の場合は、侵害を問える場合が多いといえます。尚、通常の商標の使用と同様、出所表示機能を果たしている商標的使用の場合に限られます。即ち、そのウェブサイト上でドメイン名が商品・役務と関連付けられていると閲覧者が認識し得る場合には、商標権侵害が成立すると考えられます。(※4)
尚、ドメイン名に関しては、差止請求、損害賠償請求に加え、日本知的財産仲裁センターによる裁定を用いて移転を求めることも可能です。
尚、基本的に差止請求等は広告主に対して行うものですが、インターネットショッピングモールの場合は加盟店に限らず、インターネットショッピングモール運営者も商標権者の警告から合理的期間内に削除する一定の責任を有するとされます。(※5)
(※1) 侵害を肯定したものとして、「クルマの110番事件」大阪地判平成17年12月8日(平成16年(ワ)第12032号)、「IKEA事件」東京地判平成27年1月29日(平成24年(ワ)第21067号) (※2) 商標的使用には視認性が必要とする立場からは、侵害は否定されます。これに対し、出所表示機能を発揮していることを重視する立場からは、出所混同を実際に生じている場合には侵害は肯定されます。 (※3) 「石けん百貨事件」大阪地判平成28年5月9日(平成26年(ワ)第8187号) (※4) 侵害を肯定したものとして「Careerjapan事件」大阪地判平成16年4月20日(平成14年(ワ)第13569号)、侵害を否定したものとして「yodel事件」大阪地判平成18年4月18日(平成15年(ワ)第11661号) (※5) 「チュッパチャップス事件」知財高判平成24年2月14日(平成22年(ネ)第10076号)
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