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【役立ち知識:商標】条約・協定と国内法
(2022/10/31)
 
 日本は様々な国際的な条約や協定に加盟していますが、その中には産業財産権に関係するものもあり、日本の特許法等にはそれらを遵守するために設けられた条文が存在します。

 一例として、商標法第4条第1項第17号では、“日本国のぶどう酒若しくは蒸留酒の産地のうち特許庁長官が指定するものを表示する標章又は世界貿易機関の加盟国のぶどう酒若しくは蒸留酒の産地を表示する標章のうち当該加盟国において当該産地以外の地域を産地とするぶどう酒若しくは蒸留酒について使用をすることが禁止されているものを有する商標であつて、当該産地以外の地域を産地とするぶどう酒又は蒸留酒について使用をするもの”は、商標登録されない旨が定められています。端的に言えば、日本又は世界において産地以外での使用が禁止されているぶどう酒・蒸留酒の産地表示を含む商標について、産地が異なるぶどう酒・蒸留酒に使用するものは、商標登録が認められません。
 これは、知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)(*)を担保するために導入されたものです。
 具体的には、ぶどう酒について「BORDEAUX」や「ボルドー」のように産地をそのまま表示するものはもちろんのこと、「山梨産ボルドー風ワイン」のように産地表示を形式的に商標の構成中に含むものも商標登録できないことになっています。

(*)TRIPS協定では、第23条でぶどう酒及び蒸留酒の地理的表示の追加的保護について定められており、特に第23条2では、“1のぶどう酒又は蒸留酒を特定する地理的表示を含むか又は特定する地理的表示から構成される商標の登録であって,当該1のぶどう酒又は蒸留酒と原産地を異にするぶどう酒又は蒸留酒についてのものは,職権により(加盟国の国内法令により認められる場合に限る。)又は利害関係を有する者の申立てにより,拒絶し又は無効とする。”として、ぶどう酒や蒸留酒の地理的表示を含む商標を拒絶すべき旨が規定されています。


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