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【役立ち知識:不正競争防止法】リバースエンジニアリング
(2015/09/10)
 
 リバースエンジニアリングとは、実際の販売製品を解析し、そこから技術情報を得ることです。この行為自体は不正競争防止法では差し止めることはできません。

 というのも、営業秘密(ノウハウ)の不正な取得等であれば、法上の不正競争に当たり差止請求等の措置が取れますが、そもそもリバースエンジニアリングによって得られる技術情報は原則として営業秘密に当たらないとされるためです。(※1)(尚、平成27年法改正による営業秘密の保護強化後も、依然として差し止めることはできないと考えられます。)(※2)

 しかし一方で、販売製品に用いた技術や製品そのものを保護する特許権(場合によっては意匠権も考慮に)を取得しておけば、他社がリバースエンジニアリングによって得られた技術情報をもとに同じような製品を作ったとき、それが当該特許権等の効力の範囲内であった場合には、その製造・販売等を差し止めることができます。

 即ち、自社の有用な技術情報を保護したいときに、公開されることになるが特許出願するか、もしくは営業秘密として秘匿化するかの選択は、他社がリバースエンジニアリングした場合にその技術情報の利用が可能かどうかが判断基準の一つとなります。

 例えば物の寸法や大まかな構造など、実際の販売製品を解析することで容易に取得できてしまう技術情報であれば、特許権等の取得によって保護することを検討した方が良いと考えられます。




注)
(※1) ある技術情報が不正競争防止法において保護される「営業秘密」に該当するためには[1]秘密管理性、[2]有用性、[3]非公知性の3要件を満たす必要があるところ、一般的な技術的手段(寸法を測るためのノギス等)を用いたリバースエンジニアリングによって得られるような技術情報はこれらのうち「非公知性」を満たさないため、営業秘密に当たらないとされます。
(参考)知財高裁判決 平成23年7月21日(平成23年(ネ)第10023号)

(※2) 改正不正競争防止法が平成27年7月3日に可決・成立しました。6ヶ月以内に施行される予定です。産業スパイやサイバー攻撃など、企業の営業秘密が特に海外に流出する事態が増加・深刻化していることを背景として、営業秘密の保護を強化する措置を講じたものです。
 しかし、営業秘密そのものの範囲が広がったり定義が変わったりすることはないため、リバースエンジニアリングによって得られる情報がそもそも営業秘密に当たらないことは変わりなく、依然として不正競争防止法においては合法であると考えられます。


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