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葛西特許事務所
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【役立ち知識:商標】商標機能論 (2016/01/20) |
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他人の登録商標と同じ商標や、需要者が混同して間違え得るほど似ている商標を、その指定商品等について使用することは、たとえその登録商標の存在を知らずにやったことでもその商標権の侵害となります。
しかし、上記のような登録商標の無断使用以外にも、例えば以下に挙げるような真正商品(商標権者がその登録商標を適法に表示した販売品)の出所や品質を勘違いさせ得る行為はその商標権の侵害とされる場合があるため注意が必要です。
1.真正商品を小分けし、それぞれにその登録商標を付け再包装して販売 (※1) 2.真正商品の空容器に中身を再充填し、その登録商標を付けて販売 (※2) 3.真正商品の中身を改造してその登録商標を付けたまま販売 (※3) 4.真正商品を、付いていた登録商標を剥がして転売 (※4)
また一方で、形式的には他人の登録商標の使用であっても、真正商品について出所や品質を勘違いさせることのない使い方であれば、実質的に違法性を欠き侵害は成立しないとされます。(※5) 例えば小売店に通常並んでいる、登録商標が付けられた真正商品の販売はもちろん違法ではありません。
(注) (※1)「STP事件」大阪地決昭和51年8月4日(昭和51年(ヨ)第2469号) 商標権者が「STP」という登録商標を付してドラム缶入りのオイルトリートメントを販売し、それを購入した第三者が10オンス缶ごとに小分けして販売した事案です。登録商標は権利者のみ使用権を有し、第三者はこれを使用することができないことが法により保障され、登録商標が権利者により適法に使用されてはじめて出所表示機能あるいは生産源を示すとの機能を発揮し得るのである、として侵害とされました。
(※2)「インクボトル事件」東京高判平成16年8月31日(平成15年(ネ)第899号) 第三者が、インク使用済みのインクボトル(真正商品の空容器)に、第三者製インクを充填して販売した事案です。純正インクであるとの誤認混同のおそれを需要者間に生じさせていることが明らかであり、出所表示機能を害している、として侵害とされました。
(※3)「ファミリーコンピュータ事件」東京地判平成4年5月27日(昭和63年(ワ)第1607号) ファミリーコンピュータの内部構造に改造を加えた上で「Nintendo」等の原告の登録商標を付し販売した事案です。原告登録商標の持つ出所表示機能、品質保証機能が害されるおそれがある、として侵害とされました。尚、被告は「HACKER JUNIOR」という商標も付しており、打ち消し表示であって需要者は混同しない、という旨の主張をしましたが認められませんでした。
(※4)「マグアンプK事件」大阪地判平成6年2月24日(平成4年(ワ)第11250号) 原告の販売する大袋の肥料「MAGAMP」を、被告が小分けし「マグアンプK」と商標を付し再包装した上で販売した事案です。小分け等によって当該商品の品質に変化を来すおそれがあるか否かを問わず、登録商標をその流通の中途で当該指定商品から故なく剥奪抹消することにほかならず、商標権者が登録商標を指定商品に独占的に使用する行為を妨げ、その商品標識としての機能を中途で抹殺するものである、として侵害とされました。
(※5)「フレッドペリー事件」最判平成14年2月27日(平成14年(受)第1100号) 外国の商標権者から登録商標の使用許諾を受けた者が、契約地域外の国の工場で商品を製造し、それを日本に輸入した事案です。最高裁は、(a)当該商標が外国において適法に付されたものであり、(b)当該外国の商標権者と日本の商標権者とが同一人であり、(c)品質に実質的に差異が無い場合は、いわゆる真正商品の並行輸入と認められ、その商標の出所表示機能及び品質保証機能を害することがなく、商標の使用をする者の業務上の信用及び需要者の利益を損なわず、実質的に違法性がないことを示しました。(事案はこれらを満たさないため侵害とされました。)
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