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葛西特許事務所
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【役立ち知識:商標】キャッチフレーズ等の商標登録の緩和 (2016/04/08) |
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平成28年4月1日に商標審査基準が改訂され、キャッチフレーズ的な商標であっても審査段階で登録できる可能性が上がりました。
これまでの審査においては、出願した商標がその構成のみに基づいて「キャッチフレーズ等(※1)だろう」と形式的に判断されると拒絶されていました。
しかし、その不服審判においては、実際の使われ方等を勘案した結果、審査における判断が覆り登録される事例が多く存在していました。(※2)
そこで、今般の審査基準の改訂によって、出願した商標が宣伝広告や企業理念のみを表すものでなく、その商標を付けた商品を需要者が見たときにどの出所の商品かを認識するための標識として用いられるものであれば登録されることが明確化されました。(例:「毎日続ける大豆の健康」等)(※3)
ちなみに、商標審査基準は、最近の審決・判決事情を反映した改訂が進められている最中です。前年度は商標法第3条(商標登録の要件)関係について見直されましたが、今年度は商標法第4条(不登録事由)関係について見直される予定です。(※4)
(※1) 本稿においては、標語、キャッチフレーズ、スローガン等のことを指します。
(※2) 特許庁「キャッチフレーズ等の識別力に関する調査研究報告書」(平成27年2月)によれば、審査においてキャッチフレーズ等に該当するとして拒絶査定を受けた案件532件中、拒絶査定不服審判請求を行ったものが510件あり、そのうち審判段階で登録となった案件は319件、拒絶となった案件は191件あったようです。即ち、キャッチフレーズ等の該当性を争った不服審判では約60%が、審査における判断が覆り登録されていました。
(※3) そもそもキャッチフレーズ等が拒絶される理由は、キャッチフレーズ等が商標の本来的機能である出所識別機能を有さず、需要者に商品又は役務の宣伝文句や企業理念等のみとして認識されるものであるためです。従来の審査基準においてはその該当性を出願商標の構成のみで形式的に判断していましたが、改訂審査基準においては、出願商標の構成態様の他、生じる観念と指定商品等との関連性、取引の実情、造語等であるか、等を総合的に勘案して実質的に出所識別機能を有するかどうかで判断することになりました。 「毎日続ける大豆の健康」(審判番号:不服2011−7623)の案件は当該審査基準改訂前のものですが、審査段階においては形式的にキャッチコピーに該当するとして拒絶されたものの、審判段階において、その指定商品の分野においてキャッチフレーズ等を表すものとして取引上普通に使用されている事実を発見できなかったため、判断が覆り登録に至ったものです。改訂審査基準においてはこのような案件でも審査段階において登録され得るようになったものと考えられます。
(※4) 前年度(今回の審査基準改訂)は、上述した商標法第3条第1項第6号(識別力のない商標)に関するキャッチフレーズ等の該当性判断の明確化の他にも、第3条第2項(使用による識別性)に関する使用商標と出願商標との同一性判断の明確化(緩和)等が行われました。又、全体的に記載内容が明確化されました。
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