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【役立ち知識:商標】出願公開と金銭的請求権
(2018/05/10)
 
 商標法では、出願公開制度及び設定登録前の金銭的請求権の制度が規定されています。
 特許法において出願公開制度及び補償金請求権の制度が規定されているのとよく似ていますが、制度趣旨が全く異なります。
 特許法では、重複研究の排除や審査の効率化等を図るために出願公開制度が規定されたのを受け、出願公開による模倣の被害を防ぐために補償金請求権が制定されました。
 これに対し、商標法では、未登録商標の保護を厚くする目的で金銭的請求権が制定され(平成11年改正)、その一方で、他人の出願に係る商標の使用を回避するための第三者の調査等を容易にするために、出願公開制度を設けたものです。
 従って、特許法上の補償金請求権の発生は、出願公開を要件とするのに対し、商標法上の金銭的請求権は、出願公開を要件とはしません。
 又、商標法上の金銭的請求権と、特許法上の補償金請求権とでは、上記の如き制度趣旨の違いにより、出願公開を要件とするか否かの他にも、要件や効果の点でいくつか注意すべき違いがありますので、これらについて説明いたします。

 (1)警告
 いずれの請求権も、原則として、事前に、出願内容を記載した書面を提示しての警告をしていないと認められません。相手にとって不意打ちとならないようにするためです。即ち、いきなり請求するのではなく、まずは、その行為をやめるかどうかの検討の機会を与えてから、それでもやめない場合に、請求するということになります。
 但し、特許法上の補償金請求権については、制度趣旨はあくまで出願公開に起因する模倣被害の防止なので、他人の発明の実施行為が、出願公開された特許出願に係る発明であると知ってのもの(即ち、悪意の実施)である場合(例えば、元共同開発者が模倣したものである場合)、警告なしでも補償金請求権は認められます。警告なしで認められるものとしておかないと、登録前にそのような悪意の実施があったことが例えば登録後にわかった場合に権利行使できず、結果的にこのような模倣行為を防止できないからです。尚、悪意の実施であることの挙証責任は請求人にあります。
 これに対し、商標法上の金銭的請求権は、出願人自身が業務上の損失が生じたことを認識し、その損失額を認識した上で請求するものなので、他人の商標の使用が善意(出願に係ることを知らない)であれ、悪意(出願に係ることを知っている)であれ、例外なく、事前の警告が必要です。

 (2)権利者自身の使用(実施)
 商標法上の金銭的請求権は、警告後、商標権設定登録前までの期間に、他人の商標の使用で被った業務上の損失分を請求するものであり、業務上の損失は、権利者自身が商標を使用していなければ発生し得ません。従って、上記期間における権利者自身の商標の使用が要件となります。
 一方、特許法上の補償金請求権は、出願公開に起因する他人の模倣の防止が目的なので、権利者自身の発明の実施は求められません。

 (3)請求金額
 商標法上の金銭的請求権での請求金額は、上述のとおり業務上の損失分です。
 一方、上記趣旨の特許法上の補償金請求権の場合、特許権が設定された場合のその特許権についての実施料相当額となっています。

 (4)権利の設定登録
 いずれも、権利(商標権、特許権)が設定登録されてからでないと行使できません。登録前の行使を認めてしまうと、あとでその出願が拒絶された場合に、利害関係の調整が困難になる虞があるからです。
 従って、いずれの場合も、出願が拒絶された場合には権利行使できません。又、権利化後に無効審判請求が認められて特許権又は商標権が初めからないものとされた(遡及消滅した)場合には、これらの請求権も遡及消滅します。


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