【役立ち知識：意匠】建築物及び内装の意匠の登録 （2021/03/15）

店舗の外観や内装は企業のブランドイメージに直結する場合が多く、又、オフィス家具等を扱う企業が自社製品を用いて設計したオフィスデザインを顧客に提供する事例も生じています。 　このような事情を踏まえて、昨年（2020年）4月1日に施行された改正意匠法により、建築物の外観デザイン（建築物の意匠）、及び、店舗等の内部における家具等のレイアウトや壁・床等の装飾デザイン（内装の意匠）について、意匠権による保護を受けることが可能になりました。 　特許庁から2021年1月15日付で発表された「新たな保護対象についての意匠登録出願状況」によりますと、2021年1月4日時点で情報取得可能な意匠出願のうち、建築物の意匠出願は294件、内装の意匠出願は172件となっています。そして2020年10月8日に２件の内装の意匠が初めて登録され、同年10月15日には２件の建築物の意匠が初めて登録されました。 　最初に登録された２件の内装の意匠のうちの１件は、蔦屋書店を経営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社が出願した「書店の内装」です（登録第1671152号）。この意匠は、羽田空港蔦屋書店にて実施されています。登録されたもう１件の内装の意匠は、くら寿司株式会社が出願した「回転寿司店の内装」です（登録第1671153号）。こちらの意匠は、くら寿司浅草ＲＯＸ店にて実施されています。 　他方、最初に登録された２件の建築物の意匠のうちの１件は、ユニクロを経営する株式会社ファーストリテイリングが出願した「商業用建築物」（登録第1671773号）であり、ユニクロＰＡＲＫ横浜ベイサイド店にて実施されています。登録されたもう１件の建築物の意匠は、東日本旅客鉄道株式会社（JR東日本）が出願した「駅舎」（登録第1671774号）であり、ＪＲ上野駅の公園口に建築された商業施設を併設する駅舎にて実施されています。 　これら意匠出願の実施対象となった店舗、建築物はいずれも出願の時点では建設中又は建築後でしたので、出願の際に新規性喪失の例外適用を受けています。

<前へ | 一覧 | 次へ>