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【法改正情報:意匠法】物品の区分廃止
(2021/06/29)
 
 令和3年4月1日に施行の改正法により、意匠の物品の区分が廃止されました。この改正により現在は、「意匠に係る物品等の用途及び機能を明確に認識できる場合」に一意匠として適切な物品の粒度で出願された、つまりは一意匠一出願の原則に則った出願であると判断されます。尚、この判断は、願書の「意匠に係る物品」の欄の記載のみならず、「願書のその他の欄の記載及び願書に添付された図面等」から総合的になされ、従来よりも柔軟なものとなっています。

 例えば、旧意匠法では登録が認められる物品の粒度の目安として旧意匠法施行規則別表第一にて約2,400の区分が規定されており、靴に関しては、「六 履物」の物品群「靴」の中で「短靴」や「長靴」、「運動靴」等の区分に分けられ、意匠登録されるには「靴」という広範な記載は認められず、具体的な靴の種類を記載しなければならない旨が示されていました。
 しかし今般の改正により、スリッポン(短靴の一種)の意匠に係る出願において「意匠に係る物品」を「履きもの」のような広範な記載とした場合でも、「願書に添付された図面」にてスリッポンの形状が6面図で示されている等して、意匠に係る物品等の用途及び機能を明確に認識できれば(本例では「短靴」と認識できます)、一意匠として適切な物品の粒度で出願されたと判断されます。

 尚、意匠の物品の区分が廃止され、判断手法が柔軟になったものの、一意匠における適切な物品の粒度の考え方には変わりがありません。そこで特許庁は、願書の「意匠に係る物品」の欄の記載の指針として、意匠に係る物品等を例示した「意匠に係る物品等の例」を、新たに特許庁ウェブサイト上に公表しています(下記URL)。この「意匠に係る物品等の例」は、旧意匠法施行規則別表第一を基としつつ、近年の登録実績を参照して追加・削除・掲載順や古い表記の見直し等の修正を行ったもので、より現状に即したものとなっています。

参考HP:
意匠法施行規則別表、意匠に係る物品等の例(旧意匠法施行規則別表第一・別表第二)


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